無気力女神と何様ヒーロー
ドドン! と太鼓の低い音がグラウンドに響き渡る。
今はまだ男子タンブリングの演技の最中。
宙たちの次のブロックが、ピラミッドの隊形をつくっているところだった。
西に傾き始めた太陽が地上を照らし、砂が白く光を反射して。
汗と砂で全身どろどろになった男子たちが、グラウンドの中心に密集して。
ピラミッドが立ち上がれば、スタンド中が黄色い歓声と唸るような拍手に包まれる。
……ああもう、暑い。
暑苦しい。
無理だ。
あの人たちみたいに、私はなれない。
熱くなんか、なれない。
「あ、この後ってブロック対抗リレーか。早いなー」
運動会、もうすぐ終わりだね。
何気ない志保の声が、どこか寂しく耳に響く。