愛と復讐
「な、なに?」
「……いや、面白いなと思って」
「笑わないでください」
「わかった、わかった」
尚治教授は落ちた本を本棚に戻していく
「ピアス、ありがとうございました」
「大事なものなんだろ……なくさないようにな」
柔らかく笑った尚治教授は私の頭をなでた
なんでだろう。
この手は、すごく優しい
こんな優しい手が本当に家族を殺したの?
「……春風?」
なんで?
どうして、私はそんな事を思ってるの?
「あ……はい」
私は尚治教授に笑って
本を拾う
「………この部屋暑いな……」
「そう、ですか?」
「うん、暑い」
そう言うと尚治教授は腕まくりをした。