愛と復讐
吉野尚治
どれくらい走ったんだろう。
脳裏から離れない尚治教授の右肘
ほくろのある右肘だった
「はぁ、はぁ………」
ようやく止まりあたりを見渡すと
家に着いていたようだった
頼りなく階段を上り、部屋に入った瞬間
力が抜けて座り込んでしまう
あの人が
犯人だった
あの人が
私の家族を殺した人だった
やっと見つけたんだ。
復讐するべき人が
だから、喜ばないと……
私は震える足をどうにか動かして部屋の奥の仏壇まで歩く