愛と復讐
「気をつけてな」
教授はそう言って私に目を向けた。
「尚治教授も、あまり無理しないようにしてください」
私もそう返して頭を下げた
「あぁ、ありがとう」
教授は優しくほほえむと、また書類に目を通す
大切なもの…
きっと、このままじゃずっと聞けない。
「……あの!」
私はドアの前で教授を振り返る
教授は少し驚いて顔を上げた。
「………ん?」
「えっと…あの……」
「どした?……質問か?」
教授は書類を机において立ち上がる
「質問…です。でも、授業じゃないです」
「……じゃあ、すこし待ってなさい。……授業以外のことは教授じゃないときに聞くこと」
教授はにやりと笑って煙草を取り出した
「はい……でも、書類は?」
「ん?もう終わったよ。送るついでに質問に答えるよ」
そう言って教授はベストの上にスーツを羽織る
黒いスーツ…
そんなことを思って教授を見てると
教授がその視線に気づいたのか顔を片手で隠すようにおおった