愛と復讐
薄暗い中二人で歩く。
街灯だけが照らされる道に二人の影が映し出された
「…結構暗いな。やっぱ、一人で帰さなくて良かった」
「ありがとうございます」
「いや。……で、質問ていうのは何かな?」
「あ……えっと」
私は少し口ごもってうつむく
このままじゃ、何も進まないから…
聞かなくちゃいけない。
私は意を決して顔を上げる
「………尚治教授の…大事なものって、大切なものってなんですか?」
「……大切な、もの?」
教授は少し驚いて私を見つめてる
まぁ、当たり前だよね。
「大切なもの…か」
でも返ってきた返事は少し悲しさを帯びた
優しい声音だった。
「………大切なもの、たくさんあるよ。でも、その中で一番、無くしたくないものがある」
それが、教授の大切なもの?
そんな顔をあなたにさせるもの?
何故か胸が少し痛んだ。