愛と復讐
「恋人、とかですか?」
私は真っ直ぐ見つめる。
人だったらどうしようなんて思ってない。
例え人でも、私は奪ってみせる
それが、私の人生を狂わせるものだったとしても
「……いや。違うよ……」
教授の街灯に照らされた横顔を見て
思わず息をのんだ
その目は何も見ていない、冷たい瞳
でも、その瞳には確かな悲しみがあった。
「……恋人なんかよりもっと大事なもの……でも、俺の手に届かないもの……可愛くて、もろくて、儚くて…愛しくて……仕方ないもの」
自分の胸がしめつけられるように苦しくなる
なんで、こんなに切ないの…
きっと、教授がそんな切ない顔をするから
でもその表情には確かな熱も隠れてる
「……人、ですか?」
「…当たり前だろ」
教授は笑いながら私を見た
その顔にもう切なさはなかった
「……ですよね」
私は思わずその瞳から逃れた。
私の考えが全て見透かれそうな気がしたから