愛と復讐


「恋人、とかですか?」

私は真っ直ぐ見つめる。

人だったらどうしようなんて思ってない。
例え人でも、私は奪ってみせる

それが、私の人生を狂わせるものだったとしても

「……いや。違うよ……」

教授の街灯に照らされた横顔を見て
思わず息をのんだ

その目は何も見ていない、冷たい瞳
でも、その瞳には確かな悲しみがあった。

「……恋人なんかよりもっと大事なもの……でも、俺の手に届かないもの……可愛くて、もろくて、儚くて…愛しくて……仕方ないもの」

自分の胸がしめつけられるように苦しくなる

なんで、こんなに切ないの…

きっと、教授がそんな切ない顔をするから
でもその表情には確かな熱も隠れてる

「……人、ですか?」
「…当たり前だろ」

教授は笑いながら私を見た

その顔にもう切なさはなかった

「……ですよね」

私は思わずその瞳から逃れた。
私の考えが全て見透かれそうな気がしたから

< 47 / 77 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop