愛と復讐


そんなの決まってる…

私の大切なものは…


「…私の、大切なものは……」

ゆっくり口を開く

教授は少し前で私を振り返って見てる

「………このピアスです!」

私は笑いながらピアスに触れる
確かに大切もの。
間違ってない

教授は優しく微笑んだ

「どうして?」
「……独りで苦しかったとき、私の元に届いたんです。顔も知らないし誰かもわからないけど…確かに救われたんです」

そう、このブルーのピアスがあったから私は立っていられる。
1人じゃないって思えたから

「……じゃあ、なくすんじゃないぞ」
「はい」

教授はまた微笑むとゆっくり前を向いた

私は少しずつ離れていく教授の背中を見つめる


そして

「……私の、本当の大切なものは……」



< 49 / 77 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop