愛と復讐



大学で授業を受けてもその声は私の耳から離れず
一人、シャーペンを回しながら頬杖をついていた

そこで、気づく。

ピアスが、片方ない

うそ!
あれ、すごく大事なものなのに…

いつ落としたんだろう?


「!」

もしかして、あの電車のとき…


これは、彼について知る機会かな
でも会えるとは限らないし…


「ちょっと、杏子?」


気がつくと隣には、友達の山崎 千代 ヤマザキ チヨ が私の顔を覗き込んでいた。

「な、なに?」
「また、復讐のこと、考えてたの?」
「…………」

その言葉に思わず黙る。

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