愛と復讐
「……お母さんの名前、なんていわれるのですか?」
「……そんなの聞いてどうすんだよ」
「なんとなくです」
教授は少し切なそうに笑っていた
「…吉野知子」
「ともこさん……」
「うん」
私が繰り返すと満足そうに教授は頷いた。
この時だけは教授ではなく
尚治として笑っていたのかもしれない。
「じゃ、次はお前の番だな」
「え?」
「え?じゃないだろ。好みのタイプだよ」
私の、好みのタイプ?
「………え…と」
「まさか、ファザ…」
「ありえないです」
教授は私の、鋭いツッコミに肩をすくめた
「好みは……まっすぐで、裏切らない人。それと、優しい人…」