愛と復讐



「ほんとに、わかってんのかよ…」


耳元で教授の今までとは全く違う声音が
私の耳をくすぐった。


「………え?」
「っ」

抱き締める手に力が加わった
痛いほどにきつく抱き締められる

「きょ、教授………痛い、です」
「………なぁ…お前はさ……どうしようもなく好きな人がいて、でも…そいつにとって自分は………」

自分は?

何が言いたいの?

教授の意図が見たくて体を離そうとするけど
腕の力が強すぎて顔が見れない

聞こえるのは、教授の胸の音と私の胸の音

「………自分は?」
「………いや…悪い………ごめん。今日は帰ってくれ……」

教授はすぐに私を解放すると
私が顔を見る前に教授室から出ていった。





< 73 / 77 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop