愛と復讐
「ほんとに、わかってんのかよ…」
耳元で教授の今までとは全く違う声音が
私の耳をくすぐった。
「………え?」
「っ」
抱き締める手に力が加わった
痛いほどにきつく抱き締められる
「きょ、教授………痛い、です」
「………なぁ…お前はさ……どうしようもなく好きな人がいて、でも…そいつにとって自分は………」
自分は?
何が言いたいの?
教授の意図が見たくて体を離そうとするけど
腕の力が強すぎて顔が見れない
聞こえるのは、教授の胸の音と私の胸の音
「………自分は?」
「………いや…悪い………ごめん。今日は帰ってくれ……」
教授はすぐに私を解放すると
私が顔を見る前に教授室から出ていった。