お前は俺しかいねぇだろ?
[葵side]
爽…。
なんで……。
あなただけには見られたくなかった。
葵の姿ではなかったけれど…。
「輪渡葵」
パァァァア…
シュゥゥゥウ…
私は人気のないところで姿を戻した。
クラスのみんなの記憶も消しておいた。
爽の記憶も消さなければ…。
でも、いずれ話さなければいけない…。
爽にはもう、話そうかな……。
そう考えながら歩いていたら、
「葵!!」
この声…
「爽!?」
「お前、大丈夫だったか!?
ていうか変な女に会ったんだが…」
「爽」
「ん?どうした?
顔色悪いぞ?」
「あなたに話すことがある…」
私は爽のジャケットを掴みながらそう言った。
「葵?なんだ?」
爽の顔が見れない……。
その時、
「葵?震えてるぞ?」
え?
私の肩がブルブルと震えていた。
「大丈夫か?
安心しろ。俺はここにいるぞ」
そう言って爽は私の手を掴んだ。
……落ち着く……。
「爽、あのね……」
私は勇気をふりしぼって
爽に話した。