お前は俺しかいねぇだろ?





[葵side]



びっくりした。

急に小田切爽がキレた。

どうしたんだろうと思ってみた瞬間、

教室から飛び出してったからつい、


「小田切爽!」


と叫んで追いかけた。

よく分からないけどそうでもしないと

あいつが消えてなくなりそうだったから……。


「はぁッ…はぁッ…はぁッ…。

あ、いた!!!」


あいつは中等部校舎の屋上の階段の1番上の段でうずくまっていた。


「見つけた…。ね、どしたの?」


チラっと私を見て、


「んだよ。輪渡かよ、

なんでもねーーって…」


ム。

なにそれ。


「私ぢゃだめなの?」

「……」


急に黙り込んで…

一体なんなのよぉ!!!


「いや…」


え?


「来てくれただけで……

うれしいや……」


顔を私に向け、最高の笑顔で


「サンキュ」


どきんッ。

や…やばい…。

かっこいいかも…。

ってそうぢゃなくて!!

ていうかちがくて!!


「どーも」


仕返しに笑顔で言ったら、

一瞬固まってから


「ああ……」


と一言。

ノーコメントかい!

ま、いーか。




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