教師Aの授業記録
「――まぁ、そんなわけだからお前」
教師Aは突然、田中の方を見て神妙な顔つきになり、よく分からない方向を指差した。
「とりあえず今から米大統領のところに行って、あの、なんか…側近が持ってるアタッシュケース取ってこい」
「………おい。
何おつかい行ってきてみたいなノリで核ボタン取って来させようとしてんの?!」
「いやー。一回押してみたいんだよねーアレ。ぽちっと」
自称金星人は軽々しく物騒なことを言いなさった。
「…させてたまるか。お前が消しズミになれッ!」
呆れきった田中がそう叫んだ時――。
「――あのぉ」
突如、薄暗闇に明るい光が差した。
どうやら外から扉が開いたらしい。
「…そろそろここ閉めるんですけどー。
何してるんですか?」
ひょっこりと顔を覗かせた体操着姿の女子生徒が、訝しげに三人を眺めて訊いた。