教師Aの授業記録


   * 




「…遅れてすんませんッ!!」


そう言って勢い込んで入って来た彼の名前は田中健(タナカタケル)。

容姿まあまあ、だらしなく着崩したその格好はチャラ男系、知能指数は凡人より低め。


部活には入っておらず帰宅部であり、普段はダラダラと毎日を過ごしている。まぁ結構どこにでも居そうな感じの高校生。



「………ってアレ?」


田中はその教室内を見回して、目を見張った。

教壇の傍に立つ教師らしき男が一人……と席についている女子生徒一人。


「遅刻は厳禁だ!さっさと席に着きたまえ」


その教師らしき男は田中の姿をみとめて、厳しい口調で云った。

いかにも偉そうな口調だが…、しかし田中にとってその教師は見覚えない男だった。


「………アンタ、誰?」


「先生に決まっているだろう」


「答えになってねえよ。名前を聞いてんだよ」


するとその教師らしき相手はあからさまに眉をひそめた。


「…む、口の利き方が成ってないな。
まあいい。吾輩は教師である。名前はまだ無い。作者が”ぶっちゃけめんどい””どうでもええわ~”とか云っていた」


「リアルなカミングアウトしちゃったな…」


田中は冒頭からこの話の前途が不安になってきた。

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