教師Aの授業記録
第四講目
――その翌日のこと。
教師Aは昨日休んでいたのが嘘のような明るさで、いつもの教室に現れた。
晴れやかな笑顔を浮かべて教壇に立ち、二人を見下ろしている。
「…いやー。丸一日48時間も寝ていたおかげですっかり元気になったよ。
…というかむしろ以前よりも体の調子がいいぐらいだ。ふふ…爽やかな朝だね。おはよう。中田」
「丸一日って24時間だろ。それに今は朝じゃなく夕方だから。あと俺の名前は田中だ」
田中は律儀に教師Aの言い間違いを一つ一つ正していった。
「夢の中でも丸一日寝る夢を見たから48時間だ」
「幸せな奴め」
顔色が抜群に良い教師Aを見ながら田中は呆れたふうに言った。
「――さてと。
私も超ウルトラ元気になったわけだし、張り切って今日も授業を行うとするか…」
「ちょっと待て」
田中がいつものごとく授業を始めようとした教師Aを止めた。
「…なんだね。中田君」
「…田中だ。
…話を始める前にちょっと聞きたいことがある」
真面目な表情で教師Aを真っすぐに見つめながらそう前置きをし、続けた。