教師Aの授業記録
第一講目
「前ページで”もう一人のメンバーを紹介しよう”と、勢い…というかその場のノリで云ってしまったんだが」
うぉっほんとワザとらしく咳払いをする教師A。
「実は…”まだ設定もくそも何も考えてないんだよね~”と作者がぶっちゃけてたので次回に紹介するとしよう」
「ぶっちゃけすぎだろ。…ってかすぐ隣に座ってるんですけど」
そう云って、ちらりとその女子生徒の方を見ると、
「2年の山下絵里です。よろしく」
眼鏡をかけた長い黒髪のその女子生徒が、田中を見返して淡々と云った。
「…言ってるそばから自己紹介済ませちゃったよ」
「ま、そういうこともあるだろう」
「じゃあ、俺も…」
「ああ、お前は自己紹介しなくていい」
教師は椅子から立ち上がりかけた田中を、手で制した。
「もうじき第一回目の授業が始まるからな」
「………もうじき?」
田中が訝しげに眉を吊り上げた――その時。
ジリリリリリリリリリリリ……
けたたましい非常ベルの音が空気を切り裂くように鳴り響いた。
「……おい、これって」
田中は何かを察し、口元を引きつらせた。
「そうだ」
教師はこともなげに言った。
「第一回目の授業は防災訓練だ」