復讐のkiss
私は目を閉じていた。

このまま何も言わず、死んでいくはずだった。

…でも、

お腹に刺さったはずの剣。

それなのに、

ちっともお腹は痛くない・・・

…ゆっくりと目を開けた。



「…オシリス」

「・・・ミラを守ると言ったはずだ」

目の前には、痛みを堪え微笑んでいるオシリスがいた。

…オシリスの右手には、

グリフが突き刺した剣が貫かれていた。


…オシリスの向こうに立っているはずのグリフは、

その場に倒れていた。

…グリフの横には、

剣から血をしたたらせたラメセスが立っていた。


グリフを切ったんだろ。

命はまだあるものの、大きな傷を負い、

うずくまっているグリフ。


大将を倒されたホルス国は、

白旗を上げた。

…イスタが勝利を収めたのだ。


私は無傷で、この戦を終える事が出来た。

・・・だが、

オシリスの怪我は大怪我だった。

切られた右手は、神経を断裂。

…もう動くことはない。
< 143 / 155 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop