復讐のkiss
すべての戦は終わり、

これからはイスタ帝国の統治下となる。

イスタ帝国に苦だった国々との平和条約。

そして、今後、二度と戦は起きなくなった。


…私はイスタ帝国の宮殿の窓から、

自分の故郷、ジェヘティ王国の方角を見つめていた。


もう、私がここにいる理由など、

何一つない。

妹と交わした約束を守るべく、

私は自国に帰ることを決めた。



「・・・こんなところにいたのか、ミラ」

私の背中に、ラメセスの声が聞こえた。

そっと振り返り、ラメセスを見つめる。

…なぜ、貴方を好きになってしまったんだろう。


好きにならなければ、

別れもこんなに苦しくなどなかったのに。


「ラメセス王」

「…どうした、ミラ?そんな険しい顔をして」


「私の願いを聞いてくれますか?」

「…願い・・・もちろんだ。

ミラの願いはすべて聞き入れよう・・・

約束だからな」



…ラメセスは、自分の命を、私に捧げる覚悟なんだろう。

…でも、私はラメセスの命が欲しいわけじゃない。

私の願いは、ただ一つ。

自分の故郷に、帰る事、ただそれだけ。
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