復讐のkiss
第三章 二人の王
宮殿前に出だ私たちを待ち受けていたものは、

とても静かな町の姿だった。


ラメセスが帰還した時は、

民衆が湧いた。

歓喜の声を上げ、ラメセスを称えていた。


それなのに、

なぜこんなにも静かなのか。

ラメセスも、ジュセフも、

その事は何も思っていないようだが、

私はこの違和感に、恐怖を抱いた。


「帰ってまいりました、ラメセス様」

「・・・ああ。

長かったな、かれこれ半年になるか」


たくさんの軍人たちが、

ラメセスの前を通り過ぎていく。

ラメセスはそれを静かに見守っている。


最後に、一騎馬が、ラメセスの前で立ち止まった。


「オシリス、戦の結果は?」


「…全勝です、ラメセス王」

そう言って頭を下げていたオシリスが顔を上げた。

…私はその顔を見て驚きを隠せなかった。


「…ラメセスがもう一人」

無意識に呟いていた・・・
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