影送り
「本当・・・格好良いんだから」
大好きだった彼の頬に、そっと触れる。
起こさないように、そっと。
笑ってたはずだったけど、不意に口元が歪みそうになった。
もう、いいかな。
もう、我慢しなくてもいい?
零れ出しそうになる、あの感情を必死に堪えた。
握った手を、ジッと見つめる。
大好きだった、少し骨ばった手。
身長はそんなに大きくなかったのに・・・
手は、わたしよりもかなり大きかった。
メニュー