影送り


耳元で木霊している、蝉の声。


嫌というほど聞きなれたはずだった。


でも・・・今日は違う。


どこか悲しげで、必死になっている蝉が哀れに思えた。



今年は、向日葵も、花火も、海も、川も。


何も見てないし、行ってもない。


行きたいような、もうどうでもいいような。



「あ~ホント暑い・・・」



まったく、暑さに慣れてないのになんで太陽は張り切るんだか。


噴出すように汗が、自分の首を伝った。


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