影送り
言いたいことがあったはずなのに・・・
上手く、言葉に出来ないもどかしさ。
それに涙ぐみながら、ヘヘッと笑いかけた。
あの河原に座りながら、ぼんやりと空を見る。
もちろん、隣には涼君がいる。
きっと、これが最後だ。
「ねぇ千夏。影送りって覚えてる?」
「・・・うん、覚えてるよ
だって、これを教えてくれたの・・・涼君でしょ?」
付き合い始めて、初めてデートをした帰り。
この河原で、教えてくれたんだっけ。