影送り
ずっと後ろめたくて。
ずっと忘れられなくて。
どこか、過去に置き去りにしてきてしまったような。
そんな気がして仕方なかった、あれ以来の毎日。
手放した手を、彼から離してしまった手を、誰かに委ねてしまった後悔。
幸せだと思っても、穴は塞がらなかった。
「いつも、独り言ばかり言ってた。
あなたに、あなたが動かなくなってから――――
ずっと、独りで話し掛けてたから」
寂しくて、押し潰されそうで。