散華の麗人
そんなことを知る由もない子供は真っ直ぐと一正を見る。
「代金や。」
一正は子供の頭を撫でて袋を渡した。
「あの、こんなに……」
「受け取っとけって。釣りは要らん。」
初めて、こんな大金を見た子供が困った表情になった。
「……恐悦至極に存じます。」
そう言って頭を下げる。
一正は笑んで子供を見た。
「えぇもんをたんとお食べ。」
(将来が楽しみや。)
“バシンッ”
下心を察した千代が一正を張り倒す。
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