散華の麗人
そして、千代は子供を見る。
「名は何と申す?」
「名、ですか。……拾、と申します。」
子供は目を伏せて、答える。
「この子は赤子の時に捨てられててな。本名はわからぬのです。……ただ、周りにそう呼ばれているだけで。」
奥から出てきた老婆が団子を運んできて言う。
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