散華の麗人
言い返す言葉を探しているようではなかった。
ただ静かに風麗を見ている。
「……わしが死んだら、この戦は先延ばしか、清零国が成田を討つか。」
「縁起でもないこと言わないでください。」
「いいや。」
“有り得る話や”と視線が語る。
そして、笑った。
「もし、そうなった時はわしには後継おらんからなぁ。千代か……あんたにしか、任せられんな。」
「私?」
きょとんと目を丸くして風麗は一正を見た。
「ま!そういうことや。」
そう言うと、木に凭れて再び眠った。
< 195 / 920 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop