散華の麗人
不覚にも、一正はその笑顔に不意をつかれ、どきりとしてしまった。
(わしの妻、ほんま、かわえぇ……)
真っ赤になって、千代から目をそらす。
「八千代様、八千代さまぁ!」
そう言うと、千代はぎゅうっと抱きつく。
「千代ー、わし、一正やでー……」
「ん?」
目を丸くして千代がじっと見つめる。
「かずまさ?だれです?」
「八千代は幼名や。今は、細川一正。」
完全に寝ぼけているとは分かりつつ、一正は説明する。
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