散華の麗人
千代はうーんと首を傾げて一正を見た。
「やちよさまー……う?」
あうあうと呻きながら言う。
(普段のしっかり者が嘘のようや……)
慣れているはずが、暫く本城と分城で離れていたため、久々だったのか戸惑う。
「やちゅ……やちょ……かず?」
しきりに瞬きしてう?う?と困惑している。
「八千代様は?どこー?」
「だから、わしが八千代で……」
「八千代さまぁー!」
とても嬉しそうに抱きつく千代に一正はとうとう観念した。
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