散華の麗人
倒れずに歩き続けるのは、傭兵の仕事としての責任感だろう。
(単に、甘え方を知らないだけ、かもな。)
こんな、まだ十代の少女が親もいない環境で傭兵をすることがどれだけ苦痛か。
押し殺すのが常で、甘えることは怠惰なのだろう。
(……そんなことは、ないのに。)
一正は苦笑した。
「風麗。」
そう呼ぶと、その場に座った。
リアンと合流するには少し距離がある。
おそらく、敵が来ることはない。
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