散華の麗人
その時、風麗が立ち上がった。
「貴方という人は、陛下の命と引き換えにしてまで上尾を」
「風麗!」
掴みかかろうとする風麗を一正は止めた。
「……」
風麗はリアンを睨み付けて座った。
一正は静かに口を開いた。
「……わしが死んだら、どうするつもりやったんや?」
「それは有り得ません。」
リアンは冷静に答える。
「たいした自信やな。わしを信頼してというわけやないやろ。」
「いえ。信頼していますよ。」
一正にリアンはクスッと笑った。
「もし、貴方が死にそうならば、我が国において最強の家臣がお守り致します。」
そう言いながら、リアンは襖を見た。
襖から気配が現れる。
「月夜。」
リアンが呼ぶと襖が開いた。
そこには、セーラー服を着た2つ結びの白髪をした少女がいた。
「来なさい。」
リアンに言われて、月夜はリアンの斜め後ろに座った。
「そいつがか?」
一正は拍子抜けしたように月夜を見る。
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