散華の麗人
リアンは月夜を見た。
「今までは少し、離れてましたからね。……貴方とはじめまして、ですね。」
風麗にリアンが笑む。
「この子は……“魔女”の末裔。極めて特殊な能力を持っています。……かつて、奴隷だったのを買ったのです。」
その言葉に風麗は目を見開く。
「魔女……?災いを齎す者か。」
「はい。」
一正にリアンは淡々と答えた。
「奇術師とは違うのですか?」
風麗は怪訝そうな表情をする。
「奇術師と魔女の決定的な違いは、寿命です。奇術師は人間と同じくらいの寿命を生きますが、魔女には寿命はありません。また、姿も殆ど変わらず、ある一定の年齢で成長が止まります。」
「不老不死なのですか。」
「ええ。」
風麗にリアンは答える。
リアンは綺麗な石を懐から出した。
「また、魔女には心臓が2つあります。1つは自らの名前を貰う時に身体から外され、石化し、“魔法石”という物体になります。」
「両方の心臓を破壊されない限り死なないというわけやな。」
「はい。よって、人間を超越出来るのです。とはいえ、お伽噺のようなことは出来ませんが。」
「わかっとるわ。」
一正は当然のように答える。
「そして、この子には2つの姿があります。」
リアンが言う。
< 45 / 920 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop