散華の麗人
目の前に文を置く。
「他国の者が貴様に取り入ろうとしている。……まぁ、俺にいくら取り入れども無駄だが。」
(心に決めたのは、唯ひとりだ。)
そう思いながら、脳裏を過る感情を殺した。
「表向きには同情しているような内容だが、気に入られようとして送ってきたと考えるのが妥当だ。」
「只のひねくれやろうが。」
「相違ない。が、早く決めておかねば、そうされ兼ねんと忠告してやっているんだ。」
一正に雅之は言う。
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