散華の麗人
暫く走ると風麗が追いついた。
「良かったのか?」
その問いに雅之は答えない。
「葬儀に間に合わなくなる。」
そう言うだけだ。
「俺を想ってくれただけで、充分すぎるだろう。」
「この、安上がりが。我儘になればいい。」
「では、貴様に我儘になることにするか。せいぜい使われろ。」
「巫山戯るな。お断りだ。」
風麗は冷たく言った。
「来月までに政策を改善せねばならない。俺にはやるべきことがまだある。」
「だから、あの人と共に居られない、と?」
「そうだ。」
雅之は前を見る。
「既に死んでいる。そんな奴がこれ以上望めるか。」
「こうして生きる限り、自由だと思うが。」
「貴様は甘い。」
「よく言われる。」
お互いに真顔で言う。
「だが、甘さに負けるほど脆弱ではない。」
「ほう。いい度胸だ。」
雅之はニィッと笑んだ。

城に着いて早々と葬儀の支度を始めた。
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