散華の麗人
――時は暫し遡る。
雅之が柚木の屋敷から出て行ったのを見る人影がいた。
人影はまるで陽炎のように立っていた。
「…………あなたがきらいな国をつくる王なら、ころしてあげる。この国の行く末を見るのが、わたしの役目だから。」
いつか主に言った言葉を繰り返す。
「そう。かげもひかりもおんなじね。」
幼い口調で言った。
「どちらでもいいわ。」
そう言うと目を細める。
雅之が周囲を警戒しながら、目的を終えて戻る姿を見送る。
「誰だ。」
気付かれたと感じて人影は雅之の目の前に現れた。
「こんばんは。」
月明かりに照らされて、姿が見える。
雅之が柚木の屋敷から出て行ったのを見る人影がいた。
人影はまるで陽炎のように立っていた。
「…………あなたがきらいな国をつくる王なら、ころしてあげる。この国の行く末を見るのが、わたしの役目だから。」
いつか主に言った言葉を繰り返す。
「そう。かげもひかりもおんなじね。」
幼い口調で言った。
「どちらでもいいわ。」
そう言うと目を細める。
雅之が周囲を警戒しながら、目的を終えて戻る姿を見送る。
「誰だ。」
気付かれたと感じて人影は雅之の目の前に現れた。
「こんばんは。」
月明かりに照らされて、姿が見える。