散華の麗人
去り際に月夜の頭をぽんと撫でる。
その様子は一瞬だったが、風麗には優しい人間の一面を見た気がした。
(気に入られているのか、この王が優しいのか。)
不思議な感覚に風麗は瞬きをした。
「陸羽。」
「ん。」
陸羽と視線を交わすと、皆まで言わずに清零国王は外へ出た。
「見送りはいいのでござるか?」
「不要だそうじゃ。」
与吉郎に陸羽は言う。
(あの視線はそういう意味だったのか。)
風麗は解せぬような表情で思う。
「リアンと月夜を部屋に案内せよ。与吉郎。」
「は。」
陸羽に与吉郎は頷く。
「こちらへ。」
与吉郎はリアンと月夜を連れて去った。
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