散華の麗人
城に入ると家臣がいた。
家益だと男は認識する。
「八倉殿。」
家益が声をかけた。
「良くぞ参られた。」
「御託は良い。」
八倉と呼ばれた男はそう冷たく言い放つ。
「では、此方へ。」
特に不快そうにするでもなく、家益は一正の所へ案内した。
その部屋には一正の他に、風麗、辻丸、時雨、茶々が居た。
陸羽は“用が済んだ”と言って、此方には来なかった。
「景之、久しぶりやなー!」
一正はそう言いながら笑った。
「それで、何用か?」
景之は無感動な表情を微塵も変える様子はない。
「相変わらず、冷たい奴やなー。」
一正は苦笑する。
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