散華の麗人

辻丸は不服そうだ。
「信用をされるつもりなど無い。人間に理解される必要も無い。」
「闇夜の一族の実験によって、人間より格上になったつもりか。愚かな！」
「解っているのなら、弁えろ。」
景之は目を細めて言い放つ。
「八倉家は元より、妖怪の一族だ。既にその時点で格が違う。」
それを聞いて一正は眉を寄せる。
「現在、純血の妖怪は希少だ。人間の血が混ざり、妖怪といえども能力は薄れていっている。八倉家もまた、人間の血が混ざった家系だ。」
「妖怪、か。」
辻丸はふんと鼻を鳴らす。
「四神という神が起源とされる種族だな。“青龍”“朱雀”“白虎”“玄武”……そして、その四神を支配する“黄龍”。」
「そうだ。」
「黄龍は闇夜の一族と魔女の一族の起源とされている。」
「人間にしては上等な情報量だな。」
景之は淡々と言う。