散華の麗人
“生意気”だとは咎めずに口を開く。
『遊女と一族の当主の間に出来た子の話だ。当主には既に正室と側室が居た上に遊女という身分のために、その子供のみを養子として迎える形となった。』
淡々と話す。
『制度が変わると、遊女も側室として迎えられた。……後に、その遊女は当主の正室と側室を殺した。』
『!』
雅之は力一杯に木刀を振る。
時雨はその話に驚いた顔をしながらも木刀を振ることを真似た。
『養子にされた時は当主の側室の子として、傭兵だと育てられた。……成田国との繋がりのためにおくる傭兵だ。国王の血筋を傭兵として傍に置けば、戦う意思がないと認められ、攻撃されないだろうということらしい。』
『今はその意味を成していないようですが。』
早河家にしてもそうだ。
< 639 / 920 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop