散華の麗人
一正はその意味を理解して唸る。
「長居は無用でしょう。」
「あぁ!そうや。」
時雨に一正が思い出したように言う。
「茶々。」
「はい?」
茶々は瞬きをする。
「時雨のとこに預けようと思っとる。」
「は?」
茶々と時雨が同時に困った顔をした。
「剣術や政務、文字の読み書きを教わったほうが今後の為や。いくら茶がうまくとも、それだけでは生きられん。」
一正が言うと時雨が渋面で頷いた。
「そして、分城に共に来てもらうかも知れん。ジジィと話してから決める話やが。」
「!」
時雨は驚いて一正を見る。
「その件については後でまた話す。それまでは茶々と共に行動して欲しい。」
「御意。」
そう言うとくるりと背を向ける。
「では、失礼します。」
「あ!わ、私も失礼します。ちょっと、時雨殿!置いていかないで下さい。」
早々と出て行く時雨を茶々が追う。
< 642 / 920 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop