散華の麗人
時雨は廊下を早足で歩き、自室に入る。
茶々もその後に続く。
「あの」
「黙れ。」
言葉を言わせずにきっぱりと言い切ると黙ってしまった。
「……時雨殿?」
顔を覗き込み、見上げる。
「こっちを見るな。」
淡々とした口調をして反対側を向くも、頬に赤みを帯びていることが認識できた。
「照れてます?」
意外な表情に茶々は思わず言う。
「……蔑むつもりか。」
「いいえ。唯、理由が訊きたくて。」
時雨に問う。
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