散華の麗人
僻むのではなく、そう認知されて当たり前だと感じているようだ。
「いいえ。」
茶々は笑わずに首を振った。
「誰しもひとりで生きていません。その中で、認めて欲しく感じるのは自然の摂理かと。」
「言うことだけは聡明だな。」
時雨は“文字を書くこともままならないくせに”という顔で言う。
「こう見えて、茶屋で知識だけは培ってきましたから。」
客の話を聞く中で茶々は様々な知識を得ている。
「茶屋か。」
時雨はそのことを悟ったのか、納得した表情で茶々を見る。
「貴様の噂は良く耳にする。なんでも、“美人で有名な茶屋の看板娘が陛下の所に居る”と。」
「私は男です!」
茶々は反論した。
< 646 / 920 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop