散華の麗人
時雨はそれに対して少し瞬きをする。
「そのようだと一割は思っていた。」
「九割は女だと?」
「あぁ。」
躊躇わず思うままを答える時雨に茶々は怒る気もなくした。
「文句があるなら女々しいその髪を切れ。」
「文句はありませんけど……心外です。」
茶々は膨れっ面で言う。
「男らしくなるように鍛えてやるから案ずるな。」
容赦しない気充分な様子で時雨は言う。
「…………そうやって、いじわるしていると行き遅れますよ。」
茶々は口を尖らせる。
「は?」
時雨は威圧感を放って眉を寄せる。
「女子たるもの、お淑やかにせねば」
「誰が女子だ!」
「……」
茶々の言葉を遮って怒鳴る時雨に静寂が流れる。
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