散華の麗人

歯車は動き出す

一方、一正達は陸羽の元に行っていた。
「――そうか。」
陸羽は話を聞きながら気難しい表情になる。
「全ての悪評を擦り付ける為に分城に呼ぶ。」
「無論、それが時雨にとって最悪の結末を与えることくらい解っておる。それに、悪評を時雨が請け負い、陸羽派の家臣と国王派家臣との争いにしたとて、現状を先延ばしにしたに過ぎん。」
「主にしては上等だ。」
一正に陸羽は返答する。
「争いが戦に発展するかどうかも解らんが、もしそうなった時の為に城に居る兵士の増強と屋敷の周りに住む者を選別する。」
「主の味方を固めるということか。」
「あぁ。」
陸羽に一正が頷く。
「確かに。国王が国王の味方を集めたところで至極当然であり、責めることではないか。」
そう言って納得した。