散華の麗人
ふぅ、と陸羽の溜息が聞こえた。
「まだ、探しておるのか。」
陸羽は見通したように言う。
「あぁ。」
一正は自嘲する。
「畝の生みの親が今も遊女をやっておる保証もない。寧ろ、そうでない確率の方が高い。だが、それでも」
「探しているのか。」
「……顔も知らんのに、馬鹿な話やな。」
陸羽の顔は見ずに一正は言う。
「民の為と動いていたかと思えば、乳兄弟の為。貴方は他人に自分を切り売りし過ぎです。被虐趣味ですか?」
「一言余計や。」
風麗に一正は言う。
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