散華の麗人
一正は首を振った。
「川中家のこともそろそろ時効やと思ったからや。」
「そうか。……あの左腕は信用しないほうが身のためだ。」
「どういうことや?」
一正は眉を寄せる。
「陸羽派と関わっている。」
「なんやて?」
「先日、柚木邸へ侵入した際に奴の姿も見た。」
雅之は柚木邸で聞いた話をする。
陸羽派に影武者が居るという情報が流れていること、雅之が生きていることを認識されていること。
恋人の存在を知られていること。
「影武者のことや遥葵との関係など、様々な情報が左腕から漏れている。」
「陸羽派に雅之が居る話を流したのは柚木で間違いないな。」
「知っていたのか。」
確証ある口調の一正に雅之は言う。
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