散華の麗人
それに対して、一正は頷く。
「景之が言っていた。」

『陸羽派に行っている情報はいくつかある。先ずは“敵国の傭兵だったものが政務に携わっている”こと。この、政務内容については誰も知り得ない情報だが。そして、“その傭兵が寵愛している者が細川にいる”ことだ。』

景之の言葉を思い出して言う。
「当主か。」
雅之は胸糞悪そうに言葉を放った。
「それと、柚木邸の埜々という傭兵は竜華国出身だったということも聞いた。」
「なんやと?」
一正は驚く。
「竜華国出身でありながら親は父が清零国で母は奏国。竜華国王にとっては異国民に等しかった。その為に生まれてまもなく、清零国に引き取られたらしい。リアンという名前の軍師に抜擢され、奏国との戦で活躍したという。」
「奏国……」
風麗は目を細める。
「貴様の最初の主だったな。」
「あんなの、主ではない。」
風麗は眉を寄せた。
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