散華の麗人
その会話から察するに、少年と老人が身分あった者だということが解った。
『風麗。』
師匠に呼ばれて振り向く。
『天狗。何の用だ。』
気だるげに答える。
『おや。ここにも二つ名を言う者が。』
師匠は思い出したように笑った。
『ふん。その長い鼻をいつかへし折ってやる。』
『ふふっ、楽しみにしてます。』
反抗的な態度を咎めずに師匠は言う。
『ところで、風麗。この二人の世話役をお願いしたいのですが。』
『いや。』
老人は師匠の言葉を遮る。
『わしは直ぐに此処を発つ。追手に勘付かれては困る。』
『そうですか。』
師匠は静かに老人を見据える。
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