散華の麗人
それから三ヶ月が過ぎた。
剣の素振りをしていると、風麗はじっと柳を見つめた。
『おい、へなちょこ。』
『その呼び方やめてくれない?』
『しのごの言うな!』
『あー、はいはい。で、何?』
反論を諦めた柳は聞く。
『おまえ、剣が好きではないだろう。』
『そりゃあ、戦いは等しく好まないよ。面倒だし。』
『そうではない。弓や槍よりも率先して使う割には、剣が明らかに劣っていると指摘してやってるんだ。』
風麗は偉そうに言った。
『そりゃあ、風麗には敵わないけど、俺だってそこそこやれてるつもりだよ。』
柳は苦笑する。
『……それに、俺は風麗とは違って用心棒をしようと思っている。面と向かって戦う役だ。隠密とは違って、剣や刀など接近戦が有利だろう。』
その言葉に風麗は反論しなかった。
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