散華の麗人
風麗は不機嫌につぶやく。
「あんなの、主ではない。」
そう言うのは、仕えたと言えるだけの働きではなかった自分が情けないから。
そして、どうして逃がしたのかという憤りだった。
(あの時、身代わりにすればよかったのに。)
風麗は眉を寄せた。
「今の話では、貴様が仕えたのは奏国滅亡後だな?」
「あぁ。……奏国時代は師匠が一度短期で護衛にあたったくらいなものだ。」
「しかし、聞く話では奏国の戦の時に仕えていたとある。」
雅之は矛盾を指摘する。
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