散華の麗人
翌日、身支度を済ませた一正は陸羽の元に居た。
風麗が傍に付いており、雅之も居るであろう雰囲気はした。
「秀尚のことやが」
「?」
全員は不思議そうに一正を見る。
「本城に住まわせようと思っておる。これから先、ずっとな。陸羽派が居ることは解っとる。暴動で真っ先に狙われるのがわしで、その次の標的は後継やろう。だが、本城を空ければ顰蹙を買う。仮に、暴動が起きたとして本城から攻撃することはないやろ。ジジィも居る。」
「貴方は犠牲になるおつもりですか?」
「あの城は元より、わしのや。」
風麗に一正は言う。
「戦ではない。やから、待機兵は限られる。せやけど、時間稼ぎにはなるやろ。」
「バカモノにしては、賢明よな。」
陸羽は頷いた。
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